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<福島第1原発>10メートル超津波 東電4日前に試算報告
2011 / 08 / 24 ( Wed )
 経済産業省原子力安全・保安院は24日、東京電力が福島第1原発事故直前の3月7日、「原発に10メートルを超える津波が押し寄せる可能性がある」との試算結果を保安院に報告していたことを明らかにした。この結果は08年春に出ていたが、東電は「評価の必要がある」として2年半以上にわたり保安院に報告せず、十数メートルに達した3月11日の津波についても「想定外だった」と繰り返してきた。

 保安院によると、東電は政府の地震調査研究推進本部と土木学会の見解、869年に起きた「貞観(じょうがん)地震」の断層モデルを基にした三つのケースを想定し、福島第1、第2原発に到達する津波の高さを試算していた。第1原発に到達する津波で最も高かったのが、推進本部の見解を基にした試算結果で▽5、6号機が10.2メートル▽1~4号機が8.4~9.3メートルとなった。

 この結果は08年4~5月ごろに出ていたが、東電は保安院への報告や、具体的な津波対策を実施しなかった。

 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は24日の会見で「あくまで試算で、運用を変えるほど信用に足る数値か慎重に判断する必要があった」と述べた。

 津波を「想定外」と説明したことについても「うそをついたわけではない。運用変更は学説や試算でなく固まった評価基準で行われるべきだ」と釈明した。

 事故前に東電が想定していた津波の高さは1~4号機で5.7メートル。3月7日の報告の際、保安院側は耐震安全審査室長が報告書面を受け取り「設備面で何らかの対応が必要」と指導したが、4日後に巨大地震が発生、押し寄せた津波が深刻な事故を招いた。【藤野基文、岡田英】

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