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<セシウム汚染>コメ検査30都府県で 「自主」西日本でも
2011 / 08 / 14 ( Sun )
 東京電力福島第1原発事故を受け、新米の放射性セシウム汚染調査を実施する自治体が計30都府県に上ることが、毎日新聞の調べで分かった。農林水産省は東日本の17都県を調査対象としているが、汚染牛問題で消費者の「牛肉離れ」が進んだことなどから、安全性をアピールしたい産地の危機感が浮かぶ。

 農水省は青森から静岡の17都県に対し、「土壌のセシウム濃度が1キロあたり1000ベクレル以上」か「空間放射線量率が毎時0.1マイクロシーベルト超」の地点で、収穫の前後2回、玄米を調べるよう求めている。収穫前の予備調査で玄米1キロあたり200ベクレルを超えるセシウムが検出された場合、その地域は重点調査区域に指定され、収穫後の本調査で15ヘクタールごとに細かく調べられる。もし500ベクレルを超えれば、その地域のコメの出荷は禁止される。

 自主調査の動きは北陸や近畿、中国・四国地方まで拡大し、13日現在13府県が実施を決めている。調査地点は、本調査で少なくとも3500カ所、予備調査も900カ所前後に上る。本調査は福島が最も多く、宮城、茨城が続く。秋田、山形、宮城、新潟、栃木、茨城、埼玉、千葉、長野の9県は農水省が定めた地点にこだわらず、稲作を行う全市町村で実施する。

 宮城県は34市町村で、農水省が求めた地点の倍近い約400カ所を対象に9月上旬をめどに本調査を実施する。国の「基準」より手厚い調査に踏み切る理由について、県担当者は「コメ主産県として安全安心を確認する義務がある」と説明する。

 国と県が12日に県南部で開いた説明会では、農家や自治体職員から「検査済み地域のコメには安全だという証明書を出すべきだ」などの要望が続出した。農水省は本調査で暫定規制値(1キロあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された場合、旧市町村単位での出荷制限を指示、その地域の今秋のコメは全量廃棄処分される。七ケ宿町の職員は「農家の被害を減らすため、出荷停止範囲を集落単位に狭めてほしい」と訴える。

 一方、西日本の府県は地点を絞りながらも「消費者の不安を取り除く」(福井県)ため実施するところが多い。

 予備調査は9月上旬、本調査は同中旬にピークを迎えるが、機器が足りない自治体もある。検査が滞り出荷が遅れれば、コメの品質や価格が下落し、農家に経済的な影響が及ぶ恐れもある。【井上英介、浅野翔太郎】

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