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<東電社員殺害>弁護団、DNA新証拠提出 受刑者釈放請求
2011 / 07 / 26 ( Tue )
 東京電力の女性社員殺害事件(97年)の再審請求審で、東京高検が実施したネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(44)=無期懲役が確定=のDNA型鑑定について、弁護団は26日、現場に残された14本の体毛のうち2本が被害女性の体内に残っていた精液のDNA型と一致したことを明らかにした。受刑者とは別の型で、弁護側は「第三者が犯人である可能性が極めて高い」として同日、鑑定書を新証拠として東京高裁に提出するとともに、東京高検に受刑者の釈放を請求した。【野口由紀、島田信幸】

 弁護団によると、鑑定書は23日付で200ページ余り。鑑定対象は精液、現場のアパート室内にあった体毛、女性のショルダーバッグの付着物など42点。

 鑑定については、これまでに室内で発見された体毛1本が、精液と同じDNA型であることが明らかになっていたが、さらに2本が同じ型だったことから、弁護団は「第三者が現場に入り込んで犯行に及んだ可能性があることにはならないとした確定判決を覆す新証拠」と評価した。

 また、ショルダーバッグの取っ手から検出され、捜査段階では血液型がB型と判断された付着物は検察側が「試料を保管していない」とした。裁判では付着物がB型の受刑者とつながる証拠とされていた。

 確定判決などによると、被害女性は事件当日の97年3月8日午後7時ごろ、JR渋谷駅で知人の男性と行動を共にした後、午後10時16分ごろ東京都渋谷区円山町で別れた。午後10時半過ぎに近くを別の男性と歩いているところを目撃されたが、この男性は特定されていない。午後11時半ごろに「東南アジア系の男性」と一緒に現場アパートの通路に入ったとの目撃情報があり、確定判決はこれを受刑者と認定した。弁護団は今回の鑑定から「4人目の男」がいた可能性が高いとしている。

 東京高裁と弁護団、東京高検の次回三者協議は8月10日の予定だが、検察側は受刑者が部屋の鍵を持っていたなどの状況証拠から、有罪主張を変えない方針だ。

 「無実のゴビンダさんを支える会」によると、ゴビンダ受刑者には26日、面会した同会メンバーから検察側が鑑定書を開示したことが伝えられた。ゴビンダ受刑者は「14年も人生を無駄にされた。すぐに釈放してほしい」と話したという。

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