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「普天間」政府案難点だらけ「沖縄の負担変わらず」
2010 / 05 / 14 ( Fri )
 米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、日本政府がワシントンで12日(日本時間13日)の日米実務者協議で示した最終案は、運用・技術両面で難点が多く、米側はさらに具体的な説明を求める方針だ。

 日本政府関係者や専門家からも実現性に疑問の声が出ている。

 米国務省のクローリー次官補は12日の記者会見で、同日の日米協議について、沖縄など地元の合意に加えて「我々は引き続き、軍事運用面で実現性がある合意を目指している」と述べ、さらに具体的な詰めが必要だとの見解を示した。

 政府最終案の軸は、米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市辺野古)を埋め立てる現行計画の修正案で、過去に何度か浮上した「杭(くい)打ち桟橋」方式での滑走路建設が有力だ。しかし、米側は当時、「滑走路の下が空洞になるため、テロの被害にあいやすい」と却下した経緯がある。12日の協議でも同様の指摘をした模様だ。

 川上高司・拓殖大教授は、地元の反対に加え、〈1〉テロ、台風に弱い〈2〉環境影響評価の追加手続きが必要となる――などの理由で実現は「かなり厳しい」と指摘。森本敏・拓殖大教授も「米軍関係者は『駐車場を造るのとは違う。軍事施設だ』とあきれている」と述べた。12日の参院沖縄・北方特別委員会では、国土交通省の担当者が「海底での工作物の新設には知事の許可が必要」と答弁し、水産庁は漁業権者の同意も必要だと説明。地元の同意抜きでは着工は強行できない実情が明らかになった。

 また、現行計画が2014年の完成を目標としているのに対し、桟橋方式での工事の完成までには10年前後かかるとの見方がある。費用は現行計画の約3500億円の1・5倍はかかるとの見積もりもある。

 鳩山首相がこだわる普天間飛行場のヘリコプター部隊の徳之島空港(鹿児島県)への分散移転では、同空港の着陸帯の幅(150メートル)が、計器によって適正な最終進入コースなどの情報を得る「精密進入方式」による着陸には短すぎるため、米側が難色を示している。

 最終案には、「パッケージ」として、普天間や米軍嘉手納基地の飛行訓練を全国各地に分散移転する「沖縄の負担軽減策」も含まれる。だが、仮に実現しても、沖縄の負担軽減に直結するかどうか疑問の声もある。防衛省幹部は「嘉手納基地には飛行制限がなく、訓練移転しても、海外からさらに飛行機が飛来する可能性が高い。沖縄の負担は変わらないだろう」と話す。

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