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国立西洋美術館本館、世界遺産は「落選」勧告
2011 / 05 / 28 ( Sat )
 フランスの建築家ル・コルビュジエ(1887〜1965年)が設計した、東京・上野の国立西洋美術館本館を含む計19の建築物について、文化庁は28日未明、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(ICOMOS(イコモス)、本部・パリ)が、世界文化遺産に登録しないよう勧告したと発表した。

 日本の候補地の「落選」勧告は初。6月にパリで開かれる世界遺産委員会で正式に決まれば、再推薦も原則不可能となる。勧告と異なる決議が行われる可能性もあるが、登録は厳しい状況となった。

 日本唯一のコルビュジエ作品である西洋美術館本館は、フランスが「ル・コルビュジエの建築と都市計画」を構成する世界6か国22資産の一つとして推薦。しかし2009年の同委員会は、「顕著な普遍的価値の証明を強化する必要がある」などとして、追加の情報を求め、審議を持ち越した。

 これを受けてフランスは今年1月、「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献」と名称を変更、同美術館を含む19資産に構成を見直すなどの修正をしていた。

 同美術館本館は、第2次大戦時にフランスに残された日本人実業家のコレクションが戦後、日本へ寄贈・返還されるのにあわせ、その収蔵、公開施設として1959年に建設。重要文化財に指定されている。建物を支柱(ピロティ)で持ち上げる構造など、随所にコルビュジエ建築の特色が見られ、所蔵品の増加に応じて拡張できるコルビュジエの「無限成長美術館」構想を現した作品とされている。

 岩手県平泉町の文化遺産「平泉」や、東京都小笠原村の自然遺産「小笠原諸島」は、すでにユネスコの諮問機関が世界遺産登録を勧告しており、6月の同委員会で正式決定される見通し。

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