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<東日本大震災>8割が被災者…精神疾患で入院 宮古の病院
2011 / 05 / 17 ( Tue )
 東日本大震災の被災地、岩手県宮古市の宮古山口病院(及川暁院長)が震災直後に精神疾患で入院した患者を調べたところ、8割が自宅を失うなどした被災者だったことがわかった。避難所での共同生活のストレスに耐えきれずにうつ状態になるなど、震災が原因で症状が悪化。一部には、居場所がなくなったため入院が長引いているケースもあり、同病院は対策の必要性を指摘している。

 宮古山口病院は宮古市や山田町など県中部沿岸域から患者を受け入れており、震災が発生した3月11日から5月10日までの2カ月間に入院した患者55人の状況をまとめた。

 震災前、入院患者は月10人程度だったが、震災直後から入院が相次ぎ、3月中の20日間に計27人が入院、うち被災者が21人に上った。診断名は統合失調症、認知症が多かった。4月は19人(うち被災者5人)、5月は9人(同1人)だった。

 震災前に通院歴のあった30代女性は3月下旬に入院した。幼い娘を抱え、約20人とともに避難所で共同生活。「子育てを監視されている」などと訴えてうつ状態になり、リストカットや大量服薬を図った。また、認知症の高齢者が避難所で夜間に大声を出したり、徘徊(はいかい)したため病院へ移ったケースもあった。

 仕事を持って自立生活をしていた統合失調症の40代男性は、親と同居していた家を失った。親は親族宅に身を寄せたが、男性は親族に遠慮して行き場をなくし、2カ月の入院を余儀なくされた。

 及川院長は「統合失調症の人などはストレスに弱い。仮設住宅も集団生活に近く、適応できるか心配。グループホームの早期復旧やケア拠点の拡充など、きめ細かい対策が必要だ」と話している。【野上哲】

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