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「時間止まったまま」=喪失感に苦しむ遺族―大川小
2011 / 04 / 28 ( Thu )
 「私らにとっては、あの日から時間が止まっているんです」。校舎もろとも津波にのまれ、がれきの撤去作業が続く宮城県石巻市の大川小学校。多くの遺族は今も心に開いた穴を埋められず、苦しみ続けている。
 2児を失った福田桂太郎さん(42)は「テレビでは復興なんて言ってるけど、そんな気分にはとてもなれない。あるのは喪失感だけ」と、悲痛な声を絞り出した。3年生だった長男昌明君(9)は、好きな食べ物も「おいしいから」と家族に譲るような優しい性格。ぜんそくを克服し、2年生のマラソン大会では1等賞を取った。
 小学6年だった理沙さん(12)の遺体はすぐに見つかったが、昌明君は四十九日に合わせるように前日の27日に発見された。「良かったんです、見つかって」。福田さんは自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
 今野幸一郎さん(61)は3人の孫を亡くした。趣味でみそやキムチを作っていた自宅近くの作業場は、子供たちの格好の遊び場。学校や幼稚園が終わると、笑い声が響いた。「じいじのキムチが一番いい」。3年生だった一番上の凜君(9)は、給食の出ない日はご飯とキムチだけをお弁当に持って行くほど気に入っていた。
 休みの日には自転車の乗り方を教えたり、一緒に映画を見たりした。「かき氷の機械を買ってあげると、妹や弟に作ってあげていました」。今野さんは優しく笑う。その妹(6)と弟(3)は、凜君を迎えに学校へ車で向かった母親(30)と一緒に遺体で見つかった。
 震災後、子供の声が消え、静まりかえった自宅にいると、酒を飲まずには寝付けなくなった。「昼間は仲間がいるからいい。でも昼は短くて、夜がとっても長いんだ…」。今も、自宅からはしゃぎながら作業場に歩いて来る3人の姿が目に浮かぶという。 

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