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原発事故周辺住民への損害賠償、国も負担へ
2011 / 03 / 23 ( Wed )
 政府は22日、東京電力の原子力発電所の事故で被害を受けた周辺住民らへの損害賠償について、国も負担する方向で検討に入った。

 原発事故の際の賠償責任などを定めた原子力損害賠償法に基づき、国が1200億〜2400億円を負担するほか、残りも、東電の支払い能力を上回る部分は国が支援を行う方向で被害額の算定作業に入る。

 同法は、原発事故の損害について原則、電力事業者がすべて賠償すると定めている。ただ、地震や津波などの災害が理由の場合は、国が原発1か所あたり1200億円までを負担する決まりだ。政府は、福島第一原発の事故がこれに該当すると判断している。同様に周辺への避難指示が出た福島第二原発も含めれば2400億円となる。

 同法には「社会的動乱、異常に巨大な天災地変の場合」にはすべてを国が補償するとの例外規定もある。しかし、政府は、今回の事故の原因が「社会的動乱」や「異常に巨大な天災地変」にはあたらないとして、東電も責任は免れないと判断している。高木文部科学相は22日の参院予算委員会で「一義的には東京電力に責任を持っていただく。その上で、被害者救済を最優先に国も必要な対応をしなくてはいけない」と説明した。

 賠償は、営業できなくなった企業や農産物が出荷できない農家が対象となる見込みで、支払いの範囲によっては総額が数兆円になるとの見方もある。東電の支払い能力を超えた場合に、国がどのように賠償を支援するかが焦点となりそうだ。一方、与党内には国がすべて負担する例外規定を適用すべきだとの声もある。

 1999年9月に茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」で起きた臨界事故では、住民の健康被害や検査・避難の費用、出荷できなくなった農産物の補償などにJCOが約150億円を支払った。JCOの事故は、避難の対象が半径350メートル圏内で期間も3日間だった。

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