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徳之島案表明に3町長「民意は変わらず」
2010 / 05 / 06 ( Thu )
 米軍普天間飛行場移設問題で、鳩山首相がヘリ部隊の分散移転先として鹿児島県・徳之島を示した4日、同島の3町長は「民意は変わらない」と、それぞれが移転反対のトーンをさらに強めた。3町長の一日を追った。

 「降ってわいた米軍の基地移設問題に島民みんなが怒っています。この移設反対は闘いです。みんなで闘っていきましょう」

 4日午前、伊仙町で開かれた闘牛大会。あいさつに立った大久保明町長が声を張り上げると、闘牛場に詰めかけた約1300人の島民から割れんばかりの拍手が起こった。

 熱気に包まれた会場の最前列に陣取った子どもたちが激しく角をぶつけ合う牛2頭に声援を送っていた。その姿を見つめていた農業男性は「治安に不安のある基地移設は反対。だいたい振興策がそんなに良いものなら、沖縄でこんなにも基地反対の声が上がるはずがない」と言い切った。

 闘牛場から県道を北上し、島中西部の天城町役場に向かった。沿道には「移設反対」「基地は許さん」などと書かれた看板が並ぶ。看板の横にある民主党のポスターの一枚に目が止まった。鳩山首相の顔は何者かによって×印に切り刻まれていた。

 正午前、大久幸助・天城町長が町役場から出てきた。記者に囲まれた大久町長は「反対に変わりはありませんよ。振興策については、私たちは駄目です。聞くわけにはいかない」と語り、軽乗用車を運転して走り去った。

 約1万5000人が参加した島民集会、移設反対を訴える無数の看板――。鳩山首相はこの日、3町長に面会する7日を説得交渉の出発点にしたいと意欲を見せたが、島の空気に触れると、それがいかに困難であるかを実感する。

 午後、再び記者は伊仙町に向かった。軒先のこいのぼりや、背筋の伸びた高齢者の姿が目立つ。ここは「子宝日本一」「長寿世界一」の島なのだ。テレビで首相訪沖のニュースを見てきたという大久保町長に再び話を聞いた。

 「島は自立していける。政府は振興策があれば、移設を受け入れるのではないかと、島民の心を甘くみていた。我々をばかにしていたこということだ」

          ◇

 徳之島町の高岡秀規町長は4日、知人の結婚式出席のため鹿児島市内のホテルにいた。得意のサクソフォン演奏を披露した後、中座して、式場の外で待ち構えていた報道陣の質問に丁寧に答えた。

 高岡町長は「沖縄も徳之島も、どちらも自然を壊すことになるという意味で、条件は一緒」と、環境に影響を与える基地施設建設に懸念を示した。そのうえで「徳之島はだめという民意がある。政府には、政局で考えるのではなく、国の安全保障を冷静に考えて判断してほしい」と注文を付けた。(浦郷明生、小西慶幸、中西瑛)

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