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口蹄疫 感染疑い計19カ所に 難しい経路特定、風評防止に全力 
2010 / 05 / 05 ( Wed )
 宮崎県で発生している家畜の伝染病、口蹄(こうてい)疫。殺処分される牛や豚などは過去最大規模の計約2万8千頭に上っている。農林水産省や県では感染拡大を防ぐとともに、風評被害対策にも力を入れる。感染経路の究明も急がれるが、特定は難しいもようだ。

 ■全国の小売店調査

 「宮崎県の農業生産額の60%が畜産であり、各方面への大打撃になる」

 4月27日、宮崎県の東国原英夫知事が東京・霞が関に赤松広隆農林水産相を訪ねてこう話し、「都市の宮崎牛専門店の一部で、予約のキャンセルがある」と影響の一端を硬い表情で明かした。

 口蹄疫の発生が確認された4月20日、農水省や県は家畜の移動制限や消毒などの防疫措置とともに、風評被害対策にも着手。スーパーや精肉店など小売店の業界団体に冷静に対応するよう通知した。さらに、「宮崎産は使っていません」などと、消費者に危険を誤解させる店頭表示がないか調査を始めた。

 28日までに全国約4300軒の小売店を職員が回り、3軒にこうした張り紙などの撤去を要請している。県も口蹄疫が人体に影響のないことを伝えるチラシ数十万枚を作製中で、新聞折り込みなどで配布する予定だ。

 手厚い対応の背景には、10年前に宮崎県と北海道で口蹄疫が発生した前回、発生が92年ぶりだったため情報が少なく、一部で買い控えなどの風評被害が起きた苦い経験があるからだ。

 ■人間のインフル並み

 一方、これまでの分析では、感染経路はまだ特定されていない。

 農水省などによると、口蹄疫は極めて感染力が強く、人間のインフルエンザ並みという。空気感染のほか、エサや敷きわら、人間の靴底などにウイルスが付着して運ばれる場合もある。宮崎大農学部の後藤義孝教授(家畜微生物学)は「宮崎県では特産品の確立を目指しており、海外の新品種やエサを試す人も多い。そうした試みの中で紛れ込んだのではないか」と指摘している。(高橋裕子)

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