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触って知って、伝統の重み=紀州東照宮のお面、レプリカで―和歌山
2011 / 01 / 16 ( Sun )
 美術工芸品を見るだけでなく、そっくりなレプリカに触って楽しむ珍しい展示会が、和歌山県立博物館(和歌山市)で開かれている。目が不自由な人も鑑賞してもらおうと、学芸員が企画した。対象は、江戸時代から続く紀州東照宮の大祭「和歌祭」で使われるお面などで、説明パネルも文字と点字で表示。同館関係者は「自由に触って、伝統文化への理解を深めてほしい」と話している。
 この展示会は「仮面の世界へご招待―さわって学ぶ和歌祭―」。県指定文化財の「和歌祭仮面群」(紀州東照宮所蔵)から、室町―江戸時代の表情がはっきりした5点が出展され、実物大の樹脂製レプリカも展示されている。お面は、和歌祭でみこしとともに練り歩く面掛(めんかけ)行列と呼ばれる一団が使用。いずれも紀州徳川家が集めた名工の手による作品で、レプリカには自由に触ることができる。
 ほかに、お面の歴史を知ってもらうため、縄文時代の土製仮面と、能面がレプリカとともに展示されている。
 通常、レプリカの作製には1点100万円近く掛かり、コスト面の壁が厚かったが、同市内の工業高校の生徒らに実習授業として依頼したところ、材料費1万〜2万円だけで完成した。同館の大河内智之学芸員(36)は「樹脂製は低コストで頑丈。安心して触って」と話しており、今後、常設展示にも広げられるか検討するという。
 展示会に合わせ、同館は触って読める図録も開発した。写真や文字のページに、透明な凸凹の点線を貼り付け、お面の輪郭などを表現している。販売はしないが、美術品の紹介資料では「おそらく前例がない」(同館)という。
 入場料は無料で、2月27日まで開催。問い合わせは同館 電話073(436)8670。 

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